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2023.10.30

世界にひとつと言えるかもしれない

もういつごろ手に入れたのか思い出せない。

窓辺の光が差し込む部屋の片隅にSola cubeが並んでいる。

大ぶりなタンポポのキューブが今日も光を受け止めている。

記憶に残っているのは、先にSola cubeをもっていたことだ。間も無くして作り手である吉村さんに出会った。

植物の構造美を手のひらに。時を止めたまま。こんなストイックで美しいプロダクトを生み出すなんて、相当尖った人なんだろうと思っていたが、その真逆のというか、冷静に見ると自然そのものな柔らかい人が出てきた。たしかにそういう可能性もあると一人で納得し、酒を飲み交わした。

作り手を前に言葉にすることが難しいことがある。

僕が日頃目に見える場所に置いているのは、常に原点を忘れるなという戒めであり、これから飛び立たんとするたんぽぽの綿毛は、柔らかさ、優しさ、そして初心であることを常に投げかけてくれる。

こうやって文章に置き換えていったときに、Sola cubeは自身のクリエイションにとっての「お守り」だったのだと改めて気づく。

おそらくは10年ほどの歳月を我が家で過ごすSola cubeと生み出してくれた吉村さんに感謝したい。

良いことも悪いことも色々あるのが人生だけれど、ことさらクリエイティブという仕事はその波が激しい。調子に乗ることもあっただろうし、落ち込むこともたくさんあっただろう。

しかし、ふと毎日目にするタンポポが僕の荒波を凪のようにしてくれた存在でもある。

僕にとってのSola cubeは、こんな存在だ。自身を律するのは難しい。しかし、お守りのように勝手に自分にとっての意味をもたせた存在に陰ながら救われている。そして、僕のように何かしらのお守りとして大切に持っている人もいるのだろう。クリアで透き通ったプロダクトにオーナーたちは何を投影しているのか。気になるばかりだ。

おそらくは、無数に存在するSola cubeにオーナーごとの想いがあるのだろう。

ただただ美しいプロダクトを超えて、言葉になっていなかったニュアンスを帯びているはずだ。

それはもう、世界にひとつのSola cubeといえるのかもしれない。

この記事に登場するキューブ


Sola cube タンポポ

宙言葉「風と生きる」
放射状に開いた綿毛は、種子を遠くへ飛ばすための高機能なパラシュート。
雨が降ると傘のように閉じ、晴れて乾くと再び開いて風に乗って飛んでいきます。

この記事を書いた人

Nue inc.代表 / プランナー 
松倉 早星

北海道富良野生まれ。大学卒業後卒業。 東京・京都の制作プロダクションを経て、2011年ovaqe inc.を設立し、2017年新たにNue incをスタート。様々な企業や自治体のキャンペーン企画をはじめ、ホテルプロデュース、商業施設開発、プロダクト開発、イベント開発など領域を問わない横断的なプロジェクト開発で国内外のデザイン・広告賞など30以上を受賞。

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    ESSAY

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