ONLINE STORE

© 2023 Usagi no Nedoko Inc. All rights Reserved.

2024.02.21

永続するプロダクト

Sola cubeと私の関わりも、随分長いものになった。

ウサギノネドコで何か新しい試みを始めると聞けば、京都まで話を訊きに行き、webサイトを立ち上げるときには、そのシステムの構築に関わらせてもらった。

その都度、今までになかった要素を加えていながら、根底に流れるマインドはまったく変わらないままであり続けているように思う。

常に感じるのは、そのシンプルな世界観だ。

Sola cubeは4cmの透明キューブを基本モジュールにしていながら、その中にあらゆる自然の美しさを封じ込めることができる懐の広さがある。

キューブに触れて、見ればわかり、そこに言葉は必要ない。
圧倒的なシンプルさだと思う。

折に触れておこなってきた、吉村氏との対話を振り返って、あらためて気がつくのは、見据えている時間のスケールの大きさだ。

世の中が、その時その時のブームに合わせて揺れ動いている時でも、彼はひたすら同じ場所に留まり、静かに燃える熾き火を絶やすことなく、ジリジリと育て続けていた。

一過性のコモディティを売ることを良しとせず、永続するプロダクトを構想していた。

その、起点から終点までのスパンの長さが、吉村氏の思考の射程なのだと思う。

ブランドというのは、単に良いモノを作れば出来上がるというものではない。
そこには必ず、年月の蓄積が必要で、時間の試練に耐えて生き残ったモノだけが、結果としてブランドになる。

Sola cubeはおそらく、私の身体よりも長くこの世に残るだろう。

朽ちていくはずの植物たちを留めてアクリルに封入したSola cubeは、そのまま、プロダクトの永続性を象徴しているように、私には思える。

この記事に登場するキューブ

Sola cube タンポポ

宙言葉:風と生きる
放射状に開いた綿毛は、種を飛ばすための高機能なパラシュート。
ひとつのタンポポにつき、200本近くの繊細な綿毛がついています。
まさに今飛び立とうとしている瞬間の綿毛を、職人の高度な技術でアクリル樹脂に封入したプロダクトです。

この記事を書いた人

清水 宣晶 / 伝記家

縁があってお会いした人たちに聞いたお話しを伝記としてまとめることがライフワーク。
インタビューメディア『暮らし百景』上で、これまでに170人以上との対話の記録を書き綴っている。
スケジュール調整サービス「伝助」代表。

『暮らし百景』
「伝助」
X

Write by / 清水 宣晶

NEWS LETTER

Sola cubeと私 その他の記事

  • 2024.04.12
    ESSAY

    結晶

    Sola cubeとの出会いは、12年以上前に遡る。ある日ネットで偶然出会ったのがディスプレイ越しの「タンポポのSola cube」。 「ふわふわ in 透明」という飛び切り魅力的なプロダクト。ひっそり一人でデザインを生業にしはじめたばかりの僕にとってこのプロダクトを考え商品化して世に送り出した作り手に勝手にジェラシーすら感じたのでした。 それから時が流れ、元同僚である仲のよい友人が結婚することになった。さて何を贈ろうかと考えたときに真っ先に思い出したのがSola cubeだった。同業のその彼ならきっとこのプロダクトに驚き、喜んでくれるに違いない!と思ったのでした。 ただそこで悩ましい問題が。アクリルに封入された個体はもちろん自然物。ということは当然個 […]
  • 2024.01.26
    ESSAY

    窓際に咲く。

    春と呼ぶにはまだ早い季節のこと。Sola cubeが私のおうちにたどり着いた。 淡い色彩の貼り箱の中に丁寧に敷き詰められていた。手にとると、ひんやりとした質感にほどよい重さ。箱から取り出して、寝室のテーブルに並べてみると、窓から差し込むお日様の光に照らされて煌めいていた。 透明で包み込まれた桜の花はソメイヨシノ。この子を窓辺に置きたくなったのは、太陽の当たる場所に花を置く習慣をほんの少しばかり引き継いでいるからなのかもしれない。 お部屋に花を飾るようになったのは私の中ではまだ記憶に新しい。そとに向けていた視点のほとんどがここ数年でおうちと向き合う時間に変わっていった。そんな中で生まれた習慣のひとつだ。 長く過ごす空間に向き合うことに夢中になり、時に散漫 […]
  • 2023.10.30
    ESSAY

    世界にひとつと言えるかもしれない

    もういつごろ手に入れたのか思い出せない。 窓辺の光が差し込む部屋の片隅にSola cubeが並んでいる。 大ぶりなタンポポのキューブが今日も光を受け止めている。 記憶に残っているのは、先にSola cubeをもっていたことだ。間も無くして作り手である吉村さんに出会った。 植物の構造美を手のひらに。時を止めたまま。こんなストイックで美しいプロダクトを生み出すなんて、相当尖った人なんだろうと思っていたが、その真逆のというか、冷静に見ると自然そのものな柔らかい人が出てきた。たしかにそういう可能性もあると一人で納得し、酒を飲み交わした。 作り手を前に言葉にすることが難しいことがある。 僕が日頃目に見える場所に置いているのは、常に原点を忘れるなという戒めであり、 […]
↑

BACK TO TOP