Sola cubeと私の関わりも、随分長いものになった。
ウサギノネドコで何か新しい試みを始めると聞けば、京都まで話を訊きに行き、webサイトを立ち上げるときには、そのシステムの構築に関わらせてもらった。
その都度、今までになかった要素を加えていながら、根底に流れるマインドはまったく変わらないままであり続けているように思う。
常に感じるのは、そのシンプルな世界観だ。
Sola cubeは4cmの透明キューブを基本モジュールにしていながら、その中にあらゆる自然の美しさを封じ込めることができる懐の広さがある。
キューブに触れて、見ればわかり、そこに言葉は必要ない。
圧倒的なシンプルさだと思う。
折に触れておこなってきた、吉村氏との対話を振り返って、あらためて気がつくのは、見据えている時間のスケールの大きさだ。
世の中が、その時その時のブームに合わせて揺れ動いている時でも、彼はひたすら同じ場所に留まり、静かに燃える熾き火を絶やすことなく、ジリジリと育て続けていた。
一過性のコモディティを売ることを良しとせず、永続するプロダクトを構想していた。
その、起点から終点までのスパンの長さが、吉村氏の思考の射程なのだと思う。
ブランドというのは、単に良いモノを作れば出来上がるというものではない。
そこには必ず、年月の蓄積が必要で、時間の試練に耐えて生き残ったモノだけが、結果としてブランドになる。
Sola cubeはおそらく、私の身体よりも長くこの世に残るだろう。
朽ちていくはずの植物たちを留めてアクリルに封入したSola cubeは、そのまま、プロダクトの永続性を象徴しているように、私には思える。
この記事に登場するキューブ
この記事を書いた人
清水 宣晶 / 伝記家
縁があってお会いした人たちに聞いたお話しを伝記としてまとめることがライフワーク。
インタビューメディア『暮らし百景』上で、これまでに170人以上との対話の記録を書き綴っている。
スケジュール調整サービス「伝助」代表。