私が、Sola cubeと出会ったのはいつのことだろう?
少なくともウサギノネドコの京都店に初めて訪れてから、はや十一年以上の歳月が過ぎようとしている。
Sola cubeの存在を知り、初めて手にしたのは、恐らくもっと以前のこと。
朧げな自分の記憶を手繰り寄せてみる。
Sola cubeのタンポポを誰かに貰ったのが、確か最初の出会いだった。
既存の学術的な透明樹脂標本、もしくは詩的な倉俣史郎によるアクリル封入の表現。Sola cubeは学術的でもあり、オブジェ性も併せ持ち、その上、キューブ状であるからか、どこか積み木のような親しみやすさが感じられて、好感を抱いた。
そして11年前の春、以前から気になっていたウサギノネドコ京都店へ初めて訪れる。
店内に脚を踏み入れると、そのヴンダーカンマー(驚異の部屋)な様子に圧倒され、鉱物を中心に色々と品物を買い漁った。
夏には、蔵前のギャラリーで開催された「自然の造形美展」に脚を運び、ようやく吉村さんとの初対面を果たすことになる。
以後、京都店を訪れては、吉村さんに宿を見せていただいたり、
2015年の夏には、私の事務所に併設したギャラリースペース、(PLACE) by methodにて、『自然の造形美展2「ウニのない人生なんて』の開催を果たし、ウニの骨格のコレクションも手元に増えた。
その後、京都店の隣にオープンしたカフェを訪れたり、2019年の夏には、21_21 DESIGN SIGHT GALLERY 3で「ウサギノネドコ @ 21_21」を開催。
少し時間を置いてコロナ禍の2022年秋、吉村さんにも参加をお願いした、出展者が3本の棒を持ち寄る企画展「長物のショートショート」の、関西での初めての巡回展を、ウサギノネドコギャラリーで開催した。
こうして時系列に記憶を列挙したら、Sola cubeと言うよりも、私とウサギノネドコ、または吉村さんとの、十一年間以上を共に歩んだ日々の記述となってしまった。
ただ、Sola cubeをはじめ、吉村さんが愛し、私も愛する自然の造形美の数々は、事務所の私物コレクションが置かれている棚に、今日も変わらず佇み、私自身のヴンダーカンマーを彩ってくれている。
この記事に登場するキューブ
この記事を書いた人
山田遊 / バイヤー
東京都出身。
南青山のIDÉE SHOPのバイヤーを経て、2007年、method(メソッド)を立ち上げ、フリーランスのバイヤーとして活動を始める。現在、株式会社メソッド代表取締役、 武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科客員教授、東京ビジネスデザインアワード審査委員長、TOKYO MIDTOWN AWARD審査員。国内外の店づくりを中心に、あらゆるモノにまつわる仕事に携わり、産地や教育機関での講演など多岐に渡って活動を続ける。
2013年「別冊Discover Japan 暮らしの専門店」が、エイ出版社より発売。
2014年「デザインとセンスで売れる ショップ成功のメソッド」が、誠文堂新光社より発売。
これまでの主な仕事に、国立新美術館ミュージアムショップ「スーベニアフロムトーキョー」、21_21 DESIGN SIGHT「21_21 SHOP」、「GOOD DESIGN STORE TOKYO by NOHARA」、「made in ピエール・エルメ」、「燕三条 工場の祭典」、「NOT A HOTEL」などがある。
Instagram :https://www.instagram.com/yuyamada_method/
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HP:http://wearemethod.com/