初めてSola cubeを手に取ったのは、8年前のこと。
あの頃、私は京都のセレクトショップで働いていた。
店内には、京都にまつわる選りすぐりのプロダクトが並んでいたが、特に惹かれたのはモミジバフウのSola cubeだった。
まるで星を思わせる鋭い輪郭は、どの角度から覗いても造形の精密さを感じさせた。
自然が隠し持つディテールを、ここまで鮮明に見せてくれるものがあるだろうか、そんなことを考えずにはいられなかった。
当時は自然というものにそれほど興味を持っていなく、ただただ「お洒落」「かわいい」といった表面的な魅力に惹かれる程度の浅い関心しかなかったが、この出会いをきっかけに私の中で何かが変わったのだと思う。
自然と向き合い始めてから、私は目の前の景色に新たな視点を持つようになった。それまで意識していなかったものに目を向け、思考を巡らせることが楽しみになった。
調べ物をするのは得意ではないけれど、それらの背後に隠されたストーリーを自分なりに解釈しながら追いかけることに魅力を感じている。
明確な結論を求めるよりも、その過程こそが何よりも楽しく、答えにたどり着くまでの道のりが、まるで小説のページをめくる時のように、私を引き込んでいく。
そして、その過程の中で自分がどんな発見をするのかが、何よりもワクワクする瞬間なのだ。
そんな私がウサギノネドコに魅了させられるまで、そう時間はかからなかった。
初めて店を訪れたとき、店内に並ぶ自然物の多さに圧倒されたのを覚えている。
普段目にしない動物の骨格標本、奇妙な形の鉱物、未知の木の実や貝殻、どれもがどこか不思議な存在感を放っていた。
これらは単なる物ではなく、何かしらの歴史や物語を内包しているようで、目を離すことができなかった。
この感動を知ってしまったが最後、家は次第に自然の宝物庫と化していった。
それでも、部屋の中心にはいつもSola cubeがあった。
Sola cubeを手にしたあの日の興奮や驚き、その全てが透明な立方体の中に封じ込められているかのように感じる。何度見ても、Sola cubeは私をあの時の感情へと引き戻してくれる。
モミジバフウから始まった収集は、これからもずっと続くであろう。
そして今、私はウサギノネドコでSola cubeに深く関わる仕事をしている。
ここは、私にとって特別な居場所だ。
「センス・オブ・ワンダー」、その言葉の意味を全身で感じられる、大好きな空間。
ワクワクが止まらない日々を過ごしながら、今日もSola cubeを誰かのもとへ届けている。
この記事に登場するキューブ
この記事を書いた人
Kaho Nagano / ウサギノネドコ スタッフ